この町で出会い、暮らし、笑う。
海と山、そして人のぬくもりに囲まれて

東京出身の木村秀彬さんと、岩内出身の李子さんが働くのは、老舗喫茶「さぼーる」。李子さんの祖父母が営むこのお店は、町内外から多くの人が集まる岩内の人気店です。

「東京にいるときから自然が好きで、休日は山歩きやキャンプをして自然の中で過ごしていました」と話す秀彬さん。
そんな中で農業に興味を持ち、岩内町で地域おこし協力隊となることを決意、2021年に移住生活をスタートしました。
岩内町を選んだ理由は、文化と自然のバランスが良く、海も山も近く、町の中に生活の便利さもあるところだと話します。「その“ちょうど良さ”が自分に合っていると感じました」
地域おこし協力隊を卒業後に、李子さんと結婚。農家として生計を立てながら、閑散期には喫茶さぼーるを手伝っています。

移住して良かったことを尋ねると、秀彬さんは少し笑いながら「タバコが美味しいこと」と答えました。
「空気がきれいで、風が気持ちよくて、吸っているだけで違うんです」
都会で働いていた頃は忙しさに追われていたと感じていた秀彬さん。
「ここでは自然のリズムに合わせて暮らせるので、自分のペースで過ごすことができるのが嬉しいです。忙しさから少し離れて、呼吸を取り戻すような感覚です」

「秀彬くんの最初の印象は、静かそうな人だなと思いました(笑)」と語るのは、奥様の李子さん。
札幌の学校に進学後、就職を機に岩内に戻ってきました。「親から戻っておいでと言われたのが一番の理由ですが、自分でも地元で生活するほうが合っていると思いました」
将来、喫茶さぼーるを継ぐことを決意して、お店を手伝い始めました。
「家族が営んできたお店をサポートする形で働くことになりました。いろいろな世代のお客さんとの会話が楽しく、地域の人と関われる仕事です」
都会での生活を経験したからこそ、岩内で暮らす不便さも感じるといいます。
「車を運転しないと行動範囲が狭くなるし、バスや電車を使うときは時刻を調べて動かなければならないので、最初は不便に感じました。でも、慣れるとそれも含めて自分のペースで動けるようになります」

「笑いの絶えない暮らしをしていきたい」と二人は口を揃えます。
喫茶さぼーるの店内には、いつもやわらかい時間が流れ、地域の人や観光客の憩いの場になっています。
最後に、これから移住を考えている人へのメッセージを尋ねました。
「都市部で生まれ育った人には、移住を迷っているなら一度やってみることをおすすめします。考えているだけでは分からないことがたくさんあります。実際に住んでみないと分からないことばかり。数日の滞在では見えないことがあるので、ある程度長く過ごしてみるのが大切だと思います」
「単独で行動するよりは、地元の人とたくさん仲良くなれるようにコミュニケーションをとれる人、そして自分の意見も言える人が向いていると思います」
